2013年12月8日

「金利で生活すればお金は減らない」という錯覚

Kotaroさんのブログより。
確かに、金利の一部だけを消費して生活できたら、元本は減らない。でも元本はいつ使うの?とわたしは思ってしまう。死んだ時に元本を丸々使わずに残ってしまう。こちらのほうがもったいないし残念だと思う。イチゴケーキを買ったのにイチゴを食べずに死んでしまうようなもの。
同感です。

さらに言えば、こういう文脈で出てくる「元本は減らない」というのは、単に元本の額面が減らないという意味で使われていて、肝心の購買力がどう変化するかをまったく考慮していないことが非常に多いと思います。額面金額は維持できていても、インフレで購買力が低下してしまえばその分だけお金が減っていることになるんですけどね。
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要するに、「金利だけで生活すれば元本が減らないので安心」というのはただの錯覚に過ぎません。行動経済学では心の会計と呼ばれる、人間の脳に宿る不思議な習性の一つです。山崎元さんも次のように解説しています。
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インカムゲインとキャピタルゲインを区別する考え方は古くからあるが、本来は、両者を合わせて損得を判断するのでなければならない。しかし、人間には、「メンタル・アカウンティング」(心の会計)と呼ばれる傾向性があり、本来なら色など付いていないはずの「お金」に対して、その収入の形態や、将来の使途などで、過剰な区別をする傾向がある。

毎月分配型投資信託の場合は、「分配金」で入ってくるお金に対して、「運用による利益だ」という好ましいイメージ、「(運用益だから)これを使うのは健全だ」という好都合なイメージを持ちやすく、部分的な解約による元本の取り崩しに対しては、「不健全だ」、「心配だ」というイメージを持ちやすい。
この記事は投信の分配金についてですが、預金の利息などでも基本的に同じことです。

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